D1GP Rd.1 OKUIBUKI DRIFT 詳細レポート

■コースコンディション:ドライ~ウエット
■無観客

追走中に覚醒した川畑がGRスープラで初優勝!

単走

ドライで走れた幸運で中村が優勝

Tanso 1st
中村 直樹 [Crystal H.E VALINO N-style] シルビア[S15]

 新型コロナウイルスの影響で、開幕が再三延期された2020年のD1グランプリシリーズ。けっきょく開幕戦は初開催の奥伊吹モーターパークで無観客で行われた。

 会場となったのは駐車場に作られた特設コース。ストレートは短く、最高速は110km/hちょっとというところだが、コーナーの数は比較的多く、3箇所の通過指定ゾーンが設定された。

 練習走行が行われた昼過ぎまでは、たまに少量の降雨があるていどで、路面はドライコンディション。14:00からの単走決勝本番も、その状況でスタートした。

 初めてのコースで外側はコンクリートウォールということもあって、Aグループ1本めの得点はみんなやや低調だったが、2本めの途中で雨が強くなり、ウエット宣言が出された。これによりDOSS(機械審査システム)の採点にはウエット係数が加わり、追走進出者も全体での得点上位16名ではなく、各グループの上位4名が勝ち抜ける方式に変わった。

 Aグループは2本めの走行を全員がウエット係数ありでやり直す措置がなされたが、それでもドライ時の得点にはとうてい及ばない状況だった。けっきょく、1本めのドライ時に、かなり抑えた走りながら、メリハリのある振りを見せ、ラインもきっちりとっていた中村がAグループをトップ通過。その後も雨は上がることがなく、Bグループ以降も中村の得点を上まわるドライバーが現れないまま中村の単走優勝となった。

Dグループで走った日比野は、比較的高い車速と、安定した姿勢、素早い振り返しでウエット時の走行としてはトップの得点をマークし、全体で5位に入った。
昨年の単走チャンピオン北岡は、ドライでの1本めの走行中、サイドブレーキを操作する際に燃料ポンプのスイッチを触って切ってしまうミス。敗退となってしまった。
インフィニティQ60をデビューさせたラジコン上がりの若手ドライバー蕎麦切だが、マシントラブルでドリフトできず、開幕戦は単走敗退となった。
GRスープラを製作してD1GPに復帰してきた松山は、鋭い振り出しと安定した姿勢などで高得点をとり、あぶなげなく走進出。GRスープラは3台とも単走を通過した。
昨年度ランキング5位の小橋は、練習走行では好調だったが、1本めに第2セクターで失速、2本めもするどい振りが出せずに得点が伸びず、敗退となった。
第2セクターではアウトとインに通過指定ゾーンが設けられたが、ラインどりを失敗するとイン側の指定ゾーンを外しやすく、ここで減点されたドライバーが多かった。
Pos.GroupNo.DriverMachineBest Score2nd Score
1A99中村 直樹S1596.8289.31
2A70横井 昌志S1595.1565.09
3A66藤野 秀之RPS1394.4485.97
4D18日比野 哲也S14 93.9491.68
5B46末永 正雄S1593.7493.53
6A16山口 孝二S1593.6090.82
7B90川畑 真人A9092.9491.18
8D77松山 北斗A9092.8091.27
9C14村山 悌啓S14 92.8091.15
10C2田中 省己S1592.6990.65
11B45畑中 真吾JZX10092.4991.18
12D9末永 直登S1592.3091.95
13D23村上 満S1591.8191.10
14B7松井 有紀夫FD3S90.9781.53
15C87齋藤 太吾A9089.6388.15
16C78上野 高広GSC1089.1986.81
▲ 追走トーナメント進出 ▲
17A33笹山 栄久JZX10091.7988.74
18A52北岡 裕輔JZX10090.2964.18
19D19川井 謙太郎JZX10089.4387.81
20B5内海 彰乃S1589.1287.77
21B4小橋 正典S1589.1186.49
22C43田所 義文AE8689.0568.97
23D22木口 健治C3388.8087.71
24C15植尾 勝浩S1588.3988.00
25B51岩井 照宜FC3S88.3741.10
26C36髙橋 和己JZX10086.7585.95
27A31蕎麦切 広大Q600.000.00

単走優勝

中村 直樹
Crystal H.E VALINO N-style
Crystal H.E N-style 極シルビア(S15)

 今回は単走優勝をすることができて、スポンサー様、チームのみなさん、ありがとうございました。このコロナでお客さんもいないなか、イベントをやっていただいて関係者のかたがたありがとうございました。

 単走はうまくいったんですが、追走が思うようにいかなかったんで、シリーズ通して次回こそはもっといい走りを見せれるようにがんばっていきたいんで、よろしくお願いします。

 (コースの印象は) 自分も壁がぎりぎりアウトラインで、1本ミスったら大クラッシュになってしまうようなコースのイメージなんですが、そういうところはハラハラして自分的にはけっこう好きだったんで、最後まで、決勝まで行きたかったですね。


追走トーナメント

川畑のGRスープラ2号機が劇的デビューウィン

Final Battle   
日比野哲也[S14]vs 川畑真人[A90]
川畑は後追いからはやや強引に日比野に寄せ、先行時には日比野になかなか距離を詰めさせなかった。

 雨は降り止まず、追走も終始ウエットコンディションで行われた。

 ベスト16、単走優勝をした中村はミスで敗退。末永兄弟対決はミスあり接触ありの荒れた内容の末、兄の直登が勝った。GRスープラ3台のうち、松山は村山に惜敗、齋藤は攻めすぎて横井に接触して敗れ、川畑だけが勝ち残った。

 ベスト4に勝ち上がったのは村山、日比野川畑、藤野。村山は現代のD1では非力な4気筒エンジンだが、滑りやすい路面を味方に高い車速で勝ち上がってきた。しかし、この日は日比野も好調で、1本めの後追い時には進入で村山に寄せると、そのあともきれいにあわせてアドバンテージを獲得。2本めは先行でいい走りをする日比野に対し、村山は第4セクターでまっすぐぎみに浅くなってしまい大きく減点。日比野が決勝に勝ち上がった。

 V8エンジンを積んだ、昨年とはちがうGRスープラをデビューさせた川畑は、追走が進むにつれてスピードやトラクションがよくなってきたように見えた。藤野との準決勝では先行時に通過指定ゾーンを外して減点されたが、藤野のアドバンテージは1にとどまり、川畑後追いとなった2本めには進入からキレイに藤野に寄せ、そのままあわせて勝利した。

 決勝は日比野vs川畑。1本めは日比野が先行。後追いの川畑は、進入でやや強引に日比野のインを差し、なんとか姿勢を維持して日比野と近い距離を保って走りきり、大きなアドバンテージを得た。2本めは川畑が先行。日比野は加速でやや距離を開けられてしまい、進入では寄せられない。インフィールドで川畑との距離を詰めたが、先行の川畑もいい走りをしていたため、逆転には至らず、川畑がD1でのGRスープラ初優勝を決めた。

Semi Final Battle
村山悌啓[S14] vs 日比野哲也[S14]
近年はかなり減ってしまったSRエンジンのシルビアを駆る村山だが、スピードや角度で日比野に敗れた。
Semi Final Battle
川畑真人 [A90] vs 藤野秀之 [RPS13]
チームメイトであり、お互いの走りをよく知っていることもあって、川畑はスムーズで近いドリフトを見せた。
Pick Up Battle
横井昌志 [S15] vs 川畑真人 [A90]
練習中に2回もクラッシュし、修復してベスト8まで勝ち上がってきた横井だが、パワステトラブルで敗れた。
Pick Up Battle
中村直樹 [S15] vs 上野高広 [GSC10]
後追い時、近いドリフトでポイントを取っていたように見えた中村だが、最後にスピン。上野の勝ちとなった。
Pick Up Battle
末永正雄 [S15] vs 末永直登 [S15]
1本めに大きなミスをしていた弟・正雄は、2本めには兄・直登に対してガツガツ当たるほどの攻めを見せた。
Pick Up Battle
藤野秀之 [RPS13] vs 松井有紀夫 [FD3S]
4ローターエンジンを積むマシンをデビューさせた松井だが、まだトラブルも抱えていて、ベスト16で敗れた。

優勝

川畑 真人
Team TOYO TIRES DRIFT – 1
Team TOYO TIRES DRIFT GR Supra[A90]

 みなさんご存じのとおり、今年は開幕が遅れて、スープラ2号機を製作するにあたって、じっくり作れる時間ができました。突貫工事ではなくてテストも繰り返して、いい状態で持ってくることができて走ったんですけど、はやり本番ではなかなか……練習走行とか、単走では思うように乗れなかった部分もあったんですけど、それでも何とかつないでいって、途中でラッキーもありつつの優勝だったかなと思います。とにかくスポンサー様、チームの皆様の協力のもとで走れているというところに、とにかく感謝します。

(コースの印象は)このコースは練習走行とか、走行会とかで、何回か走ったことがある道なんですけど、今回のレイアウトはすごく特殊だと思うんですね。スタートが下り坂で曲がってから壁に向かって走るので傾斜が各場所にあって、そこで吸い込まれるような感覚に陥るというか……お台場はちょっと道が荒れてるんですけど、お台場ともちがって、この奥伊吹のコースは道の傾きと自分の感覚のズレがちょっと難しい感じのコースでしたね。舗装もちょっと特殊なのかな、と。今回ドライからウエットになったんですけど、昨日のライツとかを見ているとウエットからドライに変わっていくハーフウエットになっていくところもすごく乾くのが速いなというイメージがあったので、濡れたときとドライのときのコンディションの差がちょっとつかみづらかったですかね。


最終順位&ポイント

Pos.No.DriverTeamMachineColorPoints
190川畑 真人Team TOYO TIRES DRIFT – 1A9025
218日比野 哲也SAILUN TIRE SUNRISES14 白/青 /橙21
366藤野 秀之Team TOYO TIRES DRIFT – 1RPS1318
414村山 悌啓BUY NOW JAPAN eternalS14 16
570横井 昌志NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAXS1513
645畑中 真吾SAILUN TIRE IGM RacingJZX10012
79末永 直登LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGES15白/青 /橙11
878上野 高広TEAM VERTEX SAILUN TIREGSC10白/赤10
999中村 直樹Crystal H.E VALINO N-styleS15赤/桃/紫8
1046末永 正雄NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAXS157
1116山口 孝二adidas a-unit LINGLONG G-meisterS156
1277松山 北斗FAT FIVE RACINGA905
132田中 省己SEIMI STYLE DRIFT SAILUN TIRES154
1423村上 満Team C.M.Feeling.S153
157松井 有紀夫Team RE雨宮 K&NFD3S2
1687齋藤 太吾FAT FIVE RACINGA90白/赤/黒1

単走順位&ポイント

Pos.No.DriverTeamMachineColorPoints
199中村 直樹Crystal H.E VALINO N-styleS15赤/桃/紫20
270横井 昌志NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAXS1516
366藤野 秀之Team TOYO TIRES DRIFT – 1RPS1315
418日比野 哲也SAILUN TIRE SUNRISES14白/青 /橙14
546末永 正雄NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAXS1513
616山口 孝二adidas a-unit LINGLONG G-meisterS1512
790川畑 真人Team TOYO TIRES DRIFT – 1A9011
877松山 北斗FAT FIVE RACINGA9010
914村山 悌啓BUY NOW JAPAN eternalS148
102田中 省己SEIMI STYLE DRIFT SAILUN TIRES157
1145畑中 真吾SAILUN TIRE IGM RacingJZX1006
129末永 直登LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGES15白/青/橙5
1323村上 満Team C.M.Feeling.S154
147松井 有紀夫Team RE雨宮 K&NFD3S3
1587齋藤 太吾FAT FIVE RACINGA90白/赤/黒2
1678上野 高広TEAM VERTEX SAILUN TIREGSC10白/赤1

チーム順位&ポイント

Pos.No.TeamDriverPoints
190Team TOYO TIRES DRIFT – 1川畑 真人26
218SAILUN TIRE  SUNRISE日比野 哲也20
366Team TOYO TIRES DRIFT – 1藤野 秀之15
414BUY NOW JAPAN eternal村山 悌啓10
570NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAX 横井 昌志6
645SAILUN TIRE IGM Racing畑中 真吾6
79LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE末永 直登6
878TEAM VERTEX SAILUN TIRE上野 高広6
999Crystal H.E VALINO N-style中村 直樹3
1046NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAX 末永 正雄3
1116adidas a-unit LINGLONG G-meister山口 孝二3
1277FAT FIVE RACING松山 北斗3
132SEIMI STYLE DRIFT SAILUN TIRE田中 省己3
1423Team C.M.Feeling.村上 満3
157Team RE雨宮 K&N松井 有紀夫3
1687FAT FIVE RACING齋藤 太吾3
https://youtu.be/Nx7aWSPjg6k
関連記事