D1GP RD.2 詳細レポート

■コースコンディション:ドライ

ノリノリの小橋がエビスでまたもや優勝!


単走

振り出しを制する者が単走を制す!

Tanso 1st
田中 省己(SEIMI STYLE DRIFT SAILUN TIRE) SILVIA(S15)
Tanso 2nd
横井 昌志 SILVIA(S15)
小橋 正典 SILVIA(S15)

 第2戦と第3戦は真夏のエビス、デュアルファイナルズ。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、入場者数を大幅に制限しておこなわれた。またピットエリアと観客エリアは完全に分離された会場レイアウトとなった。

 D1グランプリシリーズの初年度から20シーズン、欠かさず開催されているエビスサーキット南コースだが、今回は最終コーナー手前の第1セクターで苦労する選手が多かった。

 スピードをかせぐためにまっすぐに近い飛び出しをしたり、振り出しながら飛び出すようなタイミングだと、第1セクターの得点が出ず、振り出す位置とアクション、そして角度の微妙なバランスが求められた。ここで得点が伸びなかった選手も多く、得点はやや低調だった。

 そのなかで、第一走者だった田中が、2本めに116.62km/hという高い車速とともに、きれいな飛び出しできっちり第1セクターの得点をかせぐと、後半の車速や安定性でも得点をかせぎ、98.90点の高得点を出す。

 その後、小橋はアウトいっぱいまで攻める迫力の走りを見せたが、第1セクターで田中ほどの高得点は出ず、98.31点。そして最後のグループで横井が117.26km/hと、田中をうわまわる車速をマークし、第1セクターも高得点を獲得したが、審判席前から2コーナーの角度がやや不足し、98.35点。けっきょく田中の得点は抜かれることなく、田中の単走優勝が決まった。

Q60を駆る新人・蕎麦切は、審査コーナー前の角度はやや浅かったものの、最終コーナー手前の振りや3コーナー先の振り返しで点を稼いで初の追走進出を決めた。
お子さんの「お父さんがD1を走るところを見たい」という要望により、十数年ぶりにD1GPに復帰してきた茂木も、まとまった走りを見せて追走に進出した。
2回ともそれぞれ通過指定ゾーンを外してしまった内海はそれによる減点がひびいて得点が伸びず、追走トーナメント進出を逃してしまった。
前日の練習走行時にストレートでのドライブシャフト破損からクラッシュしてしまった岩井は、修復のための部品の調達ができずリタイヤとなった。
ストレートのピットウォール側と審査席前のアウト側、そして3コーナーのクリッピングポイントの計3ヵ所(赤の車線部分)に通過指定ゾーンが設定された。
Pos.No.DriverMachineBest Score2nd Score
12田中 省己S1598.9097.56
270横井 昌志S1598.35
34小橋 正典S1598.3195.83
487齋藤 太吾A9097.8393.59
59末永 直登S1597.68
677松山 北斗A9097.4894.66
799中村 直樹S1597.3896.57
818日比野 哲也S14 97.3795.46
927茂木 武士S1597.0994.81
1066藤野 秀之RPS1396.9194.99
1116山口 孝二S1596.4294.09
1290川畑 真人A9096.3295.49
1331蕎麦切 広大Q6096.1195.15
1436髙橋 和己JZX10095.9892.92
1578上野 高広GSC1095.8466.54
1645畑中 真吾JZX10095.6847.63
▲追走トーナメント進出▲
1752北岡 裕輔JZX10095.0988.66
185内海 彰乃S1594.9492.55
1933笹山 栄久JZX10094.4290.46
2022木口 健治C3394.3890.42
217松井 有紀夫FD3S93.3353.91
2214村山 悌啓S1491.8482.46
2343田所 義文AE8691.2285.12
2423村上 満S1579.8677.83
2546末永 正雄S1566.4615.41
51岩井 照宜FC3SRETIRE

単走優勝

田中 省己
SEIMI STYLE DRIFT SAILUN TIRE
D-MAX N-body SAILUN S15 SILVIA(S15)

 今回非常に練習日から調子もよくて、DOSSの点もけっこう出てたので、単走優勝は正直狙ってとった部分もあるんですけど、その要因として、ボクのクルマはほかの選手に比べるとけっこう非力なんですけど、そのぶん攻略のしかたとかクルマづくりだとか、あと今年からサイルンタイヤさんを履かせていただくことになりまして、すごくクルマとのマッチングもよくて戦闘力も高くて、点数のとれるタイヤですので、これに頼ったかたちにはなるんですけど、今回は本当に狙い通り獲れたので、そこはすごく満足はしています。

 (単走の本番で高得点をとるために心がけたことは?) 毎回エビスって、同じように見えてセクターの区切りとか、セクターの求められる部分がけっこうちがって、じつはけっこう細かく毎回それに合わせて修正していかないとっていうはあるんですけど、今回は特に1セクターがほとんど選手が伸びないなかで、ボクはもう練習日からイメージどおりハマって、出しかたもちょっと見えてたので、最後の2本めはそこに車速ものせていければ、間違いなく99点はいけるというイメージはあったんで。ちょっと届かなかったんですけど、組み立ては本当にうまくいっていたので、それがうまくハマったっていう形ではありますね。


追走トーナメント

ややミスの出た齋藤に対し、完璧な走りを見せた小橋

Final Battle   
齋藤 太吾(A90) vs 小橋 正典(S15)
審査区間前半は、齋藤も小橋に対して互角に走っていたように見えたが、後半の減速や加速で差をつけられた。

 ベスト16では単走優勝の田中が、後追い時に間隔を開けられてしまったところからの飛び出しでミスをして敗退したほか、中村がウォームアップ走行でのクラッシュでリタイヤするなどの波乱があったが、ベスト8ではこの日の単走で上位だった選手が勝つ順当な展開。ベスト4に勝ち上がったのは、日比野、齋藤、横井、小橋だ。

 まずは日比野が齋藤と対戦。ここまで見事なスピードと角度を見せていた日比野だが、1本めの先行時にスローダウンすると2本めはまともにドリフトできず、齋藤がGRスープラで初の決勝進出を決めた。

 準決勝もうひと組は横井vs小橋。小橋は、ここまで一見無理そうに見える寄せかたで髙橋に勝ったり、オーバーランした松山に対して極低速でドリフトを合わせて勝つなど、変幻自在の後追いを見せていた。1本めは横井が先行。横井はスピードのある飛び出しを見せたが、通過指定ゾーンをふたつ外してしまう。それに対して小橋もきっちり寄せて小橋アドバンテージ。2本めはスピードのある小橋に対して横井はあまり距離を詰められず、小橋の勝ちが決まった。

 決勝は齋藤vs小橋。1本めは齋藤が先行。齋藤はいいスピードと角度で旋回していったが2コーナーでアウトに大きくはらんでしまう。すでにインに入っていた小橋もそこにスピードと角度を合わせ、3コーナーではややインカットぎみになりながらも合わせていった。小橋に大きくアドバンテージ。2本めは小橋が先行。齋藤も小橋についていったが、2コーナーの先で距離を開けられてしまう。しかも先行の小橋のDOSS得点は100点。これで小橋の優勝が決まった。

Semi Final Battle
日比野 哲也(S14) vs 齋藤 太吾(A90)
いい走りをしていた日比野だが、1本目の後半に突如スローダウン。パイピング抜けが原因だったという。
Semi Final Battle
横井 昌志(S15) vs 小橋 正典(S15)
ともにエビスで3回の優勝経験がある選手同士の対戦となったが、先行時の横井のミスが大きな差となった。
Pick Up Battle
中村 直樹(S15) vs 藤野 秀之(RPS13)
中村は対戦前のウォームアップ走行で、ストレートに飛び出た際に足まわりを破損。その影響でクラッシュした。
Pick Up Battle
齋藤 太吾(A90) vs 川畑 真人(A90)
現在のD1GPで最大のライバルであるふたり。初めて同じ車種で対戦したが、両者ミスがある中で齋藤が勝った。
Pick Up Battle
小橋 正典(S15) vs 高橋 和己(JZX100)
ベスト16。距離を空けられていた小橋はストレートで寄せて角度で止めるという荒技で高橋のインを差した。
Pick Up Battle
小橋 正典(S15) vs 松山 北斗(A90)
ベスト8。コースアウトして失速ぎみになった松山に対しても、小橋はドリフをたもちつつ合わせてみせた。

優勝

小橋 正典
LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE
Team ORANGE SILVIA S15-2JZ(S15)

 今年は新しいクルマを投入していたチームが多かったので、そうカンタンには勝てないと思ってたんで、とりあえずめちゃくちゃうれしいです。いちおう今年まちがいなくみなさんいいクルマにしてきていたので、ボクも去年とおなじセットではなくて、新しい足まわりのセットに替えて、今回のエビス戦は挑んできました。

 (追走でうまくいったところは) 今回はミスをしないように1戦1戦気をつけて走っていましたね。あとはコーナリングスピードをとにかく速く走れるように意識していました。

 (決勝は) 太吾さんはDOSSのデータ上ボクより車速も高かったので、それが一緒に走ってみないとどうしてもわからないところだったんですけど、そこが気になってYouTubeでも見てたんですけど、思ったよりは……そこまで大きくは離されなかったのかな、と。ただナックルの特性がボクのクルマとちがって、角度つくところと減速する場所がボクのクルマとぜんぜんちがうので、そこを走りながら合わせるのはちょっと難しかったかなと思いますね。本当は角度をもっとしっかり合わせたいんですけど、太吾選手のはものすごい角度つくので、そこはやっぱりむずかしかったかな、と思いますね。

2位
齋藤 太吾
3位
横井 昌志
優勝チーム
LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE

ベストメンテナンス
Team TOYO TIRES DRIFT – 1

最終順位&ポイント

Pos.No.DriverTeamMachinePointsTanso Points
14小橋 正典LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGES15252
287斎藤 太吾FAT FIVE RACINGA90211
370横井 昌志NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAX S15183
418日比野 哲也SAILUN TIRE  SUNRISES14 16 
577松山 北斗FAT FIVE RACINGA9013 
666藤野 秀之Team TOYO TIRES DRIFT – 1RPS1312 
790川畑 真人Team TOYO TIRES DRIFT – 1A9011 
845畑中 真吾SAILUN TIRE IGM RacingJZX10010 
92田中 省己SEIMI STYLE DRIFT SAILUN TIRES1584
109末永 直登LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGES157 
1199中村 直樹Crystal H.E VALINO N-styleS156 
1227茂木 武士IWANA CENTER スピードマスター S155 
1316山口 孝二adidas a-unit LINGLONG G-meisterS154 
1431蕎麦切 広大TEAM SHIBATA SAILUN TIREQ603 
1536髙橋 和己TMS RACING TEAMJZX1002 
1678上野 高広TEAM VERTEX SAILUN TIREGSC101 

単走順位&ポイント

Pos.No.DriverTeamMachinePoints
12田中 省己SEIMI STYLE DRIFT SAILUN TIRES1520
270横井 昌志NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAXS1516
34小橋 正典LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGES1515
487斎藤 太吾FAT FIVE RACINGA9014
59末永 直登LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGES1513
677松山 北斗FAT FIVE RACINGA9012
799中村 直樹Crystal H.E VALINO N-styleS1511
818日比野 哲也SAILUN TIRE  SUNRISES1410
927茂木 武士IWANA CENTER スピードマスターS158
1066藤野 秀之Team TOYO TIRES DRIFT – 1RPS137
1116山口 孝二adidas a-unit LINGLONG G-meisterS156
1290川畑 真人Team TOYO TIRES DRIFT – 1A905
1331蕎麦切 広大TEAM SHIBATA SAILUN TIREQ604
1436髙橋 和己TMS RACING TEAMJZX1003
1578上野 高広TEAM VERTEX SAILUN TIREGSC102
1645畑中 真吾SAILUN TIRE IGM RacingJZX1001

チーム順位&ポイント

Pos.No.TeamDriverPoints
14LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE小橋 正典26
287FAT FIVE RACING斎藤 太吾20
370NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAX 横井 昌志15
418SAILUN TIRE SUNRISE日比野 哲也10
577FAT FIVE RACING松山 北斗6
666Team TOYO TIRES DRIFT – 1藤野 秀之6
790Team TOYO TIRES DRIFT – 1川畑 真人6
845SAILUN TIRE IGM Racing畑中 真吾6
92SEIMI STYLE DRIFT SAILUN TIRE田中 省己3
109LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE末永 直登3
1199Crystal H.E VALINO N-style中村 直樹3
1227IWANA CENTER スピードマスター 茂木 武士3
1316adidas a-unit LINGLONG G-meister山口 孝二3
1431TEAM SHIBATA SAILUN TIRE蕎麦切 広大3
1536TMS RACING TEAM髙橋 和己3
1678TEAM VERTEX SAILUN TIRE上野 高広3

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