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編集部への特別メッセージ
「えー、ナニナニ、自分を記事にするんですか? もっとスター選手やお若い選手がいるでしょうよー(笑)!
でも、ありがとうございます。そしてD1 GRAND PRIX 26(25)周年、本当におめでとうございます!
全日本プロドリフト選手権から数えると、もう26年ですよね。この事を知っているD1ドライバーって、もう谷口信輝さんくらいしか居ないかな(笑)。
これからも岩井自身、チーム員やスポンサーの方々と一緒にD1GPを全力で楽しみます。D1事務局さんに自信を持って言えるのは、わたくし岩井はD1GPシリーズの大ファンだということです。もともとビデオオプションの湾岸企画が好きでFCを購入し、この世界に入ってしまいました。ですから最後までお付き合いしますので、D1GPシリーズをもっともっと盛り上げてくださいね!」
岩井照宜

「好きだから」で貫き通す、旧車ドリフトの原点と20年を超える歩み

D1事務局(旧・ビデオオプション編集部)と岩井照宜選手が出会ったのは、20年以上の昔にさかのぼる。パドックに鎮座していた鮮やかな赤いKP61スターレット。ハイパワー化と最新メカニズムが急速に進む当時の競技シーンにあって、ひときわ異彩を放つ旧車と、どこか懐の深い温かな笑顔を浮かべる岩井選手。その独特のオーラに惹かれ、スタッフがついつい声をかけたのが始まりだった。
「なぜ旧車で、モンスターマシンがひしめくD1GPに挑むのか?」
編集部からの問いに、当時の岩井青年は少し照れくさそうに、けれど一切の迷いなくこう答えた。
「好きだからです」
スポット参戦を除く、2006年の本格参戦開始から、岩井選手が走らせてきた相棒たちは実に刺激的で個性的だ。KP61スターレットからスタートし、S15シルビア、再びKP61、ダイハツ・シャルマン、NA型ロードスター、そして現在のFC3S型RX-7へ。スポット参戦を含めればS13シルビアやAE86も駆ってきた。今やプレミアムな名車・旧車と呼ばれるカテゴリーのクルマを、第一線で激しく滑らせ続けてきた男。
ちなみに、当時のKP61スターレットは4A-Gターボ仕様で350馬力を誇り、アルテッツァのミッションを流用。山口県のメイク廣田で製作したオリジナルのカーボンドアやボンネットを装着した、こだわりの1台だった。また、ダイハツ・シャルマンにはノーマルのSR20エンジンにGT2835タービン、トラスト6速シーケンシャルミッション、等長リンクを組むなど、マシンメイクにもただならぬ情熱を注いでいた。
D1初期の熱気を受け継ぎ参戦を続けるドライバーとして、上野高広選手やチームメイトの田所義文選手らと共に、まさに“フルカブのレジェンド”と呼ぶべき存在だ。当時から変わらないほんわかとした話し口調に引き込まれ、編集部/事務局メンバーはピットでKP61やシャルマンのマシン談義に時間を忘れて華を咲かせたものだった。
「楽しくなければD1じゃない」――勝っても負けても笑顔、最高のチーム雰囲気

当時から一貫して変わらない岩井選手の口癖がある。
「楽しくなければ、D1GPじゃない」
その純粋なモータースポーツへの情熱は、2026年現在の岩井チーム(レーシングサービスワタナベ)にそのまま息づいている。彼らのピットの明るさは、D1GPパドックの中でも群を抜いてナンバーワンだ。勝って弾けるような笑顔、敗れてもお互いを称え合う笑顔。チーム全員がそれぞれの得意分野を持ち寄り、家族のような温かさでマシンを支え合っている。
チームを率いるのはRSワタナベの渡辺万三志監督、そしてチーム全体を温かく包み込む伊藤あゆみマネージャー。現場を支えるメカニック・クルー陣には、「field point」というショップを営む野崎拓海さんや、プロBMXライダーであり現在はドリフト選手としても活躍する大池水杜さんといった多彩で心強い仲間が集う。仲良しで最高に温かいチーム体制が、岩井選手の挑戦を支えているのだ。
そして、事務局が岩井チームを心からリスペクトしている理由がある。それは、ライバル達が素晴らしい走りを見せたり優勝を果たしたりした際、自チームの成績に関わらず、真っ先にピットを飛び出して心から相手を称え、惜しみない賛辞と拍手を送り続ける点だ。モータースポーツの本質である「リスペクトと楽しさ」を、彼らは誰よりもピュアに体現している。
ビデオオプション「湾岸企画」への憧れ、そして甘酸っぱい“田んぼダイブ”エピソード
幼少期から乗り物なら何でも好きだった岩井少年。自転車を乗り回していた少年は、成長とともにバイク、そしてクルマへと順当にステップアップしていった。根っからの乗り物好きだったが、勉強も含めて何をやっても長続きしなかった彼が、人生で唯一ずーっと夢中になれたのが「ドリフト」だった。
スポーツカー好きになった最大のきっかけは、当時擦り切れるほど観たビデオオプションの「湾岸暴走企画」だ。夜のストリートを颯爽と駆け抜け、甲高いロータリーサウンドを響かせる姿に強烈に心を奪われた。
大学生になり、必死の思いで憧れのFC3S型RX-7を購入。意気揚々と通っていた「広島工業大学」へ乗り付け、同級生たちに自慢しまくった。しかしウキウキ気分で広島のバイパスを流していた時のこと。前方トラックの不意な車線変更を避けきれず、なんとそのまま田んぼへダイブ! 大切な愛車は一発廃車となってしまった。
それでもスポーツカーへの情熱は冷めず、先輩たちの助けを借りて再びFCを購入。21歳の時、壊れたエンジンを直してくれたドリフト好きの先輩から「エンジン直してやったんだから、ドリフト始めろ!」と言われたことが、ドライバー岩井照宜の誕生の瞬間だった。
広島県立広島高等技術専門校時代と、粘り強さの原点
広島県立広島高等技術専門校時代には、「全日本学生ドリフト王座決定戦(学ドリ)」西大会で優勝を果たすなど一気に才能を開花させた岩井選手。ちなみに学生時代はドリフトに情熱を注ぎすぎるあまり単位が足りず、本人曰く「卒業時の成績は最下位だった」という。
ゼミの先生の自宅へ夜な夜な通い詰め、単位取得のためのレッスンを受けて粘り強く働きかけたことで、土壇場で見事に大学を卒業。この時に見せた諦めない執念と愛嬌こそが、まさに今のD1GPでの泥臭くも鋭い走りと粘り強さに直結していると言えるだろう。
生粋の「MAZDA広島県人」の意地と、ロータリーエンジンへのこだわり
2025年以前は普通に事務職の会社員として働きながら(現在は車屋さん勤務)、限られた環境の中でレース活動を継続してきた岩井選手。ロードスター時代にロータリーエンジンを換装して以来、彼が一貫してロータリーにこだわり続ける最大の理由、それは彼自身が生まれも育ちも「広島県人」、広島はMAZDAの本拠地だからだ。
現在のD1GPシーンにおいて、ロータリーエンジンで戦い続けることは決して容易ではない。純正パーツの生産中止や廃盤も多く、1000馬力オーバーが当たり前となった現代のD1GP戦線において、パーツ供給が豊富な2JZエンジンやシルビア系への乗り換えが勝利への近道であることは百も承知だ。(実は現在のFC3S制作時、当初は4ローター搭載も検討されたものの予算の都合で断念し、ユーノスコスモ用の3ローター「20B」をクロスポート加工して搭載したというリアルな舞台裏もある)それでも岩井選手がFC3Sとロータリーエンジ(20B)搭載にこだわる理由は、全国のRX-7ファンやロータリーファンに、スタンダードなボディとロータリーエンジンで参戦する姿を見せること。そして地元・広島から届く熱い声援があるからだ。
「勝ちだけを追うなら別の選択肢もある。でも、自分を応援してくれるファンと、広島と、チームのために走りたい」
派手なメーカー系ワークスチームではないが、岩井チームにはD1GP界トップクラスの熱狂的で温かい固定ファンがついて離れない。岩井照宜という男のブレない「旧車、ロータリー好きな生き様」に、ファンは魅了されているのだ。
2026年開幕戦の大クラッシュ――試練の先で見せた人格者の素顔

2026年シーズン現在も、鋭い走りと圧倒的な粘り強さで常にベスト16へ顔を出す実力派としてD1GP戦線を盛り上げている岩井選手。しかし、2026年のD1GP開幕戦日曜日、アクシデントが襲う。激しい追走の果てに、長年付き合いのある事務局でさえ見たことがないほどの「廃車寸前の大クラッシュ」を喫してしまったのだ。誰もが言葉を失う激しい衝撃。しかし、破損したマシンから降りた岩井選手が真っ先に口にしたのは、自らの体やマシンの心配ではなく、ファンへの謝罪だった。「せっかく見に来てくれた旧車ファン、ロータリーファン、そして地元・広島から応援してくれている方々に申し訳ない…」どこまでも自分を支えてくれる人たちのために走り、感謝を忘れない。その人柄と誠実さに、D1事務局および編集部は、これからも最上級の敬意と賛辞を送り続ける。
【岩井照宜 プロフィール】
| 名前: | Teruyoshi iwai 岩井 照宜 |
| 出身地: | 広島県 |
| 誕生日: | 1978年1月20日(48才) |
| 身長: | 173cm |
| 血液型: | A型 |
| 職歴: | 2025年以前は事務職の会社員。2025年よりショップ勤務 |
| 家族構成: | 4人兄弟の末っ子(近年は家族もD1参戦を温かく見守っている) |
| チーム体制: | RSワタナベ(レーシングサービスワタナベ) |
| 歴代マシン: | KP61スターレット S15シルビア KP61スターレット ダイハツ・シャルマン NA6CEロードスター(ロータリー換装) FC3S RX-7(スポット:S13, AE86) |
【2026年 D1GPマシンスペック】
| 車両名: | Project μ LED信玄 RIZEWORKS 7 |
| ベース車両: | マツダ FC3S RX-7 / PANDEM & TRA京都 ワイドボディ |
| 搭載エンジン: | 20B型 3ローターエンジン(クロスポート加工) |
| 最高出力: | 700馬力(700ps) |
| 過給機: | TRUST T88-34D タービン |
| 足回り/サスペンション: | 326POWER チャクリキDAMPER |
| ホイール: | Racing Service Watanabe EIGHT SPORK R TYPE(F:9J-17 / R:9J-18) |


